企画書制作で大事なことはビッグネームを仮でいいから入れること

アニメビジネス

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いきなりですが、映画祭ってどんなものかご存知でしょうか?
レッドカーペットを有名女優が歩いて行って、そこで表彰を受ける。
こんなイメージがあるかもしれません。
さてさて、この映画祭の裏側では「映画の取引」が行われています。
いわゆるフィルムマーケット、というやつです。
できあがった映画や、作り途中の映画、これから作る予定の映画の取引が行われます。

できあがる前ならある程度安い金額で取引できますし、できあがってメチャクチャいい感じに仕上がっていたら高い金額になる。
これから作る段階なら安いけれどもリスクはある、という状態でみんなが取引をします。
「これから作る段階の映画」はなにも素材がないのになぜお金を出す人がいるのかというと、そこに企画書があるからです。

その企画書も結構いい加減なものです。
出演予定の俳優、オファーする予定の監督名など記載されていますが、あくまでも仮の名前です。
実際は役者と条件が折り合わず変更になったり、監督も変更になったりします。
しかし、企画書があってそこにプランがあるから、お金は集まるのです。

■企画には、未確定の事項も入れる

企画書、というのは一般公開することはあまりありません。
企業や出資者に向けて「こういうことをこういう体制でやりたいです」という説明資料になります。
ですので、ある程度確定していない事項なども入れていくことになります。

ここで大事なのが「やる前提ならビッグネームもしっかりと企画書に記載する」ということです。
企画として成立しそう、と思って行動するのであればこれから依頼するであろう、大御所や大きな会社の名前を企画書に入れてしまった方が良いです。
ビッグネームが入ることで、企画自体が盛り上がるように読んだ人は感じますし、その結果企画にのってくれる人が増えます。
ビッグネームが複数入っていると、ビッグネームを誘う際に「そうかこの会社も誘うのだからウチは一緒に動いていた方が得だな」と思ってもらえて企画が成立しやすくなります。

■ビッグネームを入れるとこのようなことができる

以前、東京都の大田区が出資している組織、大田区産業振興協会でビジネスプランコンテスト、というのを開催していました。
こちらのビジネスプランコンテストは元々地元の地銀、信金さんなどが審査員として参加していたもので地元密着系のビジネスプランが多く集まってきている状態でした。
次は大きく羽ばたきそうなビジネスプランが増えて欲しい、ということで企画の変更を協会の職員と一緒にやりました。

ここでどうしたのかというと、大田区には羽田空港があり、クロネコヤマトの物流拠点もあり、お台場にかけて倉庫などもあるし、鉄道やバス、ホテルなどもしっかりあるので「交通、物流系のベンチャーが集まりやすいような企画にしよう」という話になりました。
企画書を作る際に「JAL、ヤマトホールディングス、東急、その他出資事業を行っている交通物流系の大企業に依頼する」と記載しました。
ちなみに、この時点でツテはまったくありません。
しかも、周りの職員に聞いてもツテがなく、「イチから営業かぁ」となりました。

とはいえ、企画書があるのでこれをJAL、ヤマトホールディングス、東急にメールを送ったところよい反応があり、結果これらの会社が参加してくれることになりました。
また、三井不動産などにも声をかけて(倉庫系が入っていなかったので)みたところ、こちらもOKをいただくことに。

大田区産業振興協会、という協会は正直なところあまりネームバリューがなく営業は難しいかと思えたのですが、企画書のパワーでなんとかなったのです。
そうして、ベンチャーを呼び込む形のビジネスプランコンテスト(正式にはベンチャーピッチ in 羽田)となりました。

ここで大事なのは、JALさんからこの企画書を見たときには「そうか、ヤマトホールディングスさんや東急さん、他の大企業もでるのか。うちもでておいて損はないな」と思えるような内容になっていたことです。
ヤマトホールディングスさんは「JALさん、東急さんでるのか、うちも参加しとかないとな」と思ってくれたことでしょう。
ヤマトホールディングスさんにいたっては、メールアドレスすらわからなかったので、ホームページに記載されている入力フォームから企画書のURLを記載して送ったくらいです。
それくらいツテのない状態でも、大きな企画として回すことができたのです。

■ビッグネームの組み合わせを上手く使って企画にパワーを持たせる

企画書のすごいところは、企画を書く本人が地位がなかったとしても企画書のパワーでいろいろとすすめることができる、ということです。
ビッグネームを上手く組み合わせることで、企画を大きく、そして羽ばたく形にし、その結果ビッグネームが参加してくれる、という仕組みを作ることができます。

「今自分が手持ちの知り合いとかで回せるもの」という企画を作ると、弱い企画になりがちです。
それよりも、ビッグネームや会ったことの無い人も含めて企画を大きくしよう!、という気持ちで企画を作ると羽ばたく企画が生まれます。
あとは企画に参加してくれる人たちにしっかりとメリットを示していければ、本当にビッグネームの参加した企画が成立するものです。

企画を作る際には、企画書が最強の営業ツールとなります。
電話が苦手で大丈夫。私も電話苦手です。メールに企画書を添付してそこから調整しました。
自分自身がツテがない。大丈夫です。ツテのないところから企画書を使ってお願いしたらOKでました。
コロナ禍なので人に会ってもらえない。大丈夫です。企画書に営業してもらえばよくて、企画書がしっかりしていればオンラインミーティングで十分調整終わります。

大事なのは、相手にメリットがあり、そして参加したい!と思わせる他の参加者も入れることです。

大木は、羽ばたく企画を作るために、ビッグネームも企画書に入れていくようにしましょう!