アニメ聖地巡礼の溜まり場となるには?

地域
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■「溜まり場」となる3つの要素

アニメが舞台になった地域にファンが集う聖地巡礼。求められるのは「溜まり場」です。「溜まり場」になるには3つの要素があるように僕は思います。

  • 気軽に入ることができる
  • 友人や地域の方々とお話しができる
  • 地域の方に迷惑をかける心配がない

この3つを押さえることでアニメ聖地巡礼の「溜まり場」となります。

■気軽に入ることができる

「気軽に入ることができる」に理想をいえば、24時間いつでも入ることができて、お金がかからない、もしくはとても安価に過ごすことができるところ、です。

アニメファンの年齢層は10代から60代までと広く、所得も様々。自然と誰もが無理をしない場所に集まるようになります。

アニメファンの「溜まり場」の代表格をあげるとすれば、かつては24時間営業のファミレスやカラオケボックスだったでしょう。イベント帰りの打ち上げとして、会場近くのお店に集まり、思い思いに過ごす。ファミレスはドリンクバーがあれば何時間でも楽しめますし、カラオケボックスは会員であれば安価に過ごせます。

一方、アニメの舞台になった地域では、ファミレスやカラオケボックスが必ずしもあるとは限りません。

そこで溜まり場となるのが、駐車場です。商工会や神社、お寺が好意で解放しているケースがあります。そうしたところはいつでも入ることができて、お金がかかりません。また、聖地巡礼に赴くファンに多い「痛車」はそうした駐車場があるととても助かるようです。解放されている聖地の駐車場に行くと痛車が数台とまっていて、ちょっとした「痛車」ミーティングが行われていることもあります。

■友人や地域の方々とお話しができる

つぎは「友人や地域の方々とお話しができる」です。アニメファンは好奇心旺盛でコミュニケーション好きな人たちです。話したいことはたくさんあるし、知りたいこともたくさんある。聖地巡礼に赴くときは、その気持ちがとくに昂っていることでしょう。旅先で、思いもかけない嬉しいサプライズに期待するのは、皆、同じです。そうした期待をかなえてくれる場所が「溜まり場」となります。

具体的には、喫茶店、バー、店内にちょっとした休憩スペースのあるお土産屋、観光案内所などの施設です。店主をはじめとした地域の方とお話ができて、同好の士と知り合うことができる。あの場所に行けば、楽しいことが待っている。その信頼が高いところに人は集まります。

信頼という言葉を使いました。ここが重要です。以前、私はとある聖地の古民家を訪れました。古民家を改装し、おでん屋になったというので、営業日を調べて行きました。水曜日だったことを覚えています。すると、営業時間になってもお店が閉まっている。中には人がいたので、呼びかけました。ここまで来てお目当てのお店に入れないのでは、なんとも悔しい。開店時間が遅くなるなら、待つつもりです。しかし、お店の方の応えはなんともつれないものでした。「土日に来客が多く、おでんがなくなってしまった。だから、今日(水曜日)は休みにした。月火はお店の定休日なので、今、仕込んでいる」というもの。たぶん、この古民家がおでん屋である限り、私は二度といかないでしょう。

突発的なトラブルが起きて、やむなく休店日にすることはあります。一方、聖地巡礼に訪れるアニメファンは遠方から来ていることが多い。今日は休みだから明日、来てくれ、といわれても、そう簡単にはいきません。そこで活躍するのがTwitterなど、SNSです。

営業日・時間の変更などはSNSでこまめに発信しましょう。Twitterであれば、地域の情報をチェックしているアニメファンがリツイートしてくれますし、Facebookであれば、シェアしてくれます。必要な人に必要な情報が届く確率はずいぶん上がっています。

訪れれば楽しいことが待っており、営業日・時間などのインターネット上の情報が正確であり、急遽、変更しなくてはいけないときには余裕を持って事前に変更点が発信される。そんな施設が「溜まり場」となります。

■地域の方に迷惑をかける心配がない

アニメファンは地域の方に迷惑をかけることを心配しています。自分が他人の土地に行くことで、住人の方々を不安がらせるのではないか。友人たちと盛り上がりすぎて、商店街の空気を乱すことになるのではないか。

好きなアニメ作品の舞台になった場所に来たのです。思いっきりはしゃぎたい気持ちがあります。それなら、アニメファンはテンションマックスで見境のない行動に走るでしょうか。大部分の多くのほとんどの、アニメファンは自制するのです。じっと自分を抑えます。地域の方は「みなさん、マナーが良くて、礼儀正しい」と評します。だが、それだけではありません。皆々はアニメ作品が好きで、わざわざ遠方から舞台になった地域へと来たのです。奥底にはマグマのような昂りがあって当然です。

だから、地域はもう一歩踏み込んで考えてください。テンションマックスで心を解放する空間と時間を用意するのです。そこはアニメファンが思い思いに自分の気持ちをさらけ出すことを許された場所です。そして、アニメファンが集う溜まり場になります。

埼玉県久喜市鷲宮で開催された「萌輪ぴっく in 柊姉妹誕生イベント」が参考になるでしょう。アニメファンと地域の方がいっしょになって競い合う運動会です。競技はアニメ要素をたっぷりと含んだユニークなものばかりだし、もちろんコスプレOK。ここではアニメを好きな自分を存分に解放することができる。そして、地域の方に迷惑をかける心配がない。こうした場こそ「溜まり場」となります。

【参考】萌輪ぴっく in 柊姉妹誕生イベント2017 http://www.wasimiya.org/moefes/