地域コンテンツを作るコツは「地域を入れすぎない」こと!

コンテンツ 聖地巡礼

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地域のコンテンツをアニメにしたい!という希望は良く聞きます。
そして、自治体がアニメを作ったりする事例も増えました。
ただ、それらのコンテンツがしっかり見られているのかというと実はそうでもありません。
なぜなら、地域アニメは必ずしも面白い、とは限らないからです。

いわゆるテレビアニメになるものは「面白い題材」をテーマにアニメにします。
原作小説が面白くて売れているものや、ゲームとして売れているもの、マンガが売れているもの、テーマが面白いと思われたので独自企画として立ち上げたもの。
さまざまですがどれもが「面白い」という視点で作られてそして育て上げられた結果アニメが作られます。
ここが大事なところで「面白いものを作るから面白い」のであって、アニメだから面白いわけではありません。

では、地域でアニメを作る場合面白くなるのかというと難しいところです。
面白く作ろうとしたアニメは面白くなり、「地域コンテンツを盛りだくさんに入れてとにかく紹介しようとしたアニメは面白くないものになりやすい」という傾向があります。

■聖地巡礼に適しているアニメは地域を紹介しているわけではない

いわゆるファンが聖地巡礼に来るアニメ、色々見てもらえるとわかりますがその地域をしっかり紹介しているものはほとんどありません。
むしろアニメの1シーンに登場する、というだけで「アニメが面白くて流行った」という理由で聖地に来ている人の方が多いです。
つまり、聖地を作る際に大事なのは「面白いアニメにその地域が登場する」ということであって、地域を紹介することではないのです。

もし、アニメをきっかけに地域に来て欲しい、というのであれば面白いコンテンツを作ることが大事で、地域を紹介することは大事ではないのです。
また、地域ネタで100%を満たす必要もありません。
面白さ重視でその中に地域が少し登場する、という配分で十分なのです。

■地域が主体になると地域に縛られやすい

自治体などの地域の人がアニメを作ろうとすると「地域のことを紹介せねば」という気持ちが強くなりすぎてアニメが面白くなくなってしまうこと、本当に多くあります。
大事なのは「面白いことを作る!」という意思を持つことです。
地域のネタでも面白いものはたくさんあります。
ただ、面白いというのは簡単には伝わりません。
まず見てもらいやすいような工夫(美少女を出すとか、イケメンを出すとか、ロボを出すとか、ファンタジーな雰囲気を作るとか)が最初にあって、その後徐々に深みのある面白さに繋がっていくとみんなが「面白い!」と思ってくれます。
そうすると、地域のネタをたくさん入れようとすればするほど、入り口の面白さ(見てもらいやすいような工夫)がおざなりになりやすくなり、また見てくれる人が少なくなると深みの部分をみんなが分析してくれなくなって面白さが伝わりづらくなってしまいます。
今の時代、深みのある面白さはファンが分析し、深みをファン同士で共有することで深みのある面白さが伝播していきます。
つまり、深みを知ってもらうにはそもそもファンが多くないと分析してくれる人も増えず、面白さの伝播も行われなくなってしまうのです。

アニメでもマンガでも小説でも、地域のコンテンツを作る際には「面白さ」を優先してみてください。
そして、地域を盛り上げるからという目的であっても「地域を絶対にたくさん入れなければいけない」という思いから解放されてください。
面白さを優先した結果、地域の情報が多少薄れたとしても問題ありません。結果的に面白さがその地域の魅力を引き上げてくれます。

面白ければ深掘りしてくれるファンが増えるので結果的に地域の情報は広まり、その中で分析されて深掘りされていきます。
「面白い」と思えるところから作り込んでいくほうが、コンテンツは広がり結果的に興味を持ってくれる人が増えるのです。

地域のコンテンツだからってその地域を100%入れる必要はありません。
10%くらいであっても十分で、面白ければそれで聖地巡礼してもらえます。
まずは「面白い!」から作り込んでいきましょう。