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とあるバイクツーリング好きの人はこう言っていました。
「今回のツーリングのゴールはあそこのラーメン屋さんにしよう」と。
バイクに乗ることが本来の目的なので、どこに行くのかはある意味適当。
だけど、どこかには行きたい。
目的地があるとそれだけでテンションが上がる。
というわけで、ツーリングの目的地がちょっと美味しいという噂のラーメン屋さんになった、というわけです。
■人は旅行する「言い訳」を探す
多くの人は「気分を変えるためにもちょっと旅行に行きたいな」と思っているものです。
ですが、どこに行こうかというと案外悩んでしまいます。
その際に大事なのが「旅に行く、言い訳(目的)」です。
「ここから行ってもいいかな」という言い訳を与えられると人は旅立ちます。
江戸時代には伊勢参りが流行りました。
現代の伊勢参りは内宮中心ですが、江戸時代は農家が多かったので外宮中心の伊勢参りでした。
外宮は豊受大御神がまつられており、農家にとって「拝む理由がある」旅先だったからです。
江戸時代の人も「旅行に行きたい!」という気持ちはあったのでしょう。
ですが、おいそれと遊びのために旅行に行く和系には行かない。目的がないとみんなも納得してくれない。
そして、自分自身も目的がないと旅行に行くことに納得できない。
そうして、旅行に行く目的として伊勢神宮の外宮を参拝して自分の仕事に活かす!という目的を作ったのだと考えられます。
■「言い訳」を作ろう!
アニメ地域おこしで大事なことの1つが「現地に来てもらう」ことです。
ファンサイドから見ると「現地に行く」という言葉になります。
旅行に行くというのは結構お金も使いますし、時間も使うものです。
そのために「なんとなく旅行に行く」というのはなかなか自分自身で納得できるものではありません。
旅行に行きたい!という気持ちはみんな持っていますが、旅行に行くにはあと一押しが必要なのです。
そのあと一押しとして「旅行に行くための言い訳」を上手く準備をすると現地に来てくれる人が増えます。
言い訳としては、以下のようなものがあります。
・知り合いや仲間に会える
・自分の知らないモノと出会える
・今しかやっていないイベントがある
・今しか見れない景色がある
・健康になれる/心が回復する
・誰かの役に立てる
・感動を共有できる
たとえば、同人誌即売会とかだと遠方からも参加する人は多いです。
同人誌即売会が行われるといろんな地域から旅行してもらうことができます。
同人誌即売会では、クリエイターに会えたり、知り合いと会えたり、ここにしかない本という宝物が見つかったり、新しい同好の士と出会えたり、同人誌を買うことで喜ばれたり、好きなコンテンツに触れることで心が軽くなったり、感想を言い合うことで感動を共有できたりします。
これらの要素が複数あるため、同人誌即売会は遠方であっても参加する、という人はいます。
アイドルや声優のコンサートも同じで、自分の地域だけでなく遠方の地域のものであっても参加する人はいます。
旅行に行くいいわけがこれらのイベントではしっかりそろっている、というのが重要なポイントです。
■地域側で「旅行の言い訳」を作ろう
アニメ地域おこしで「観光に来てもらう」には、こういった言い訳を地域の側で準備していくことが大事な要素となります。
イベントをやって同好の士が集えるようにしたりとか、その地域を使って宝物を見つけられるようにするとか、いろいろと仕掛けていく必要があります。
スタンプラリーなどが面白がられるのは、宝物を探すような感覚でできるからです。
また、SNSなどでは定期的に「○○で困っているのでぜひ助けると思ってウチの店に来てください!」というような投稿などもバズることがあります。
これは「人助けに協力する簡単な方法を教えてもらえたので、協力する気になる」という人の気持ちの動きが関係して、バズったりしています。
こうした「困っていることを明確にし、助けてもらう方法もわかりやすくする」ことで旅行の言い訳を作ることもできます。
言い訳の作り方は「自分が旅行に行くときにどんな言い訳を自分自身に言っているのか」というのも参考になるので、自分の心の深掘りもしてみましょう。
自分自身が旅行に行く計画を色々立てるとそれだけで「これも旅行の言い訳になる、あれも旅行に言い訳になる」と旅行の言い訳がいろいろと見えてきます。
そこでわかった言い訳を自分の地域に応用することで、地域に来訪してくれる人を増やすことができます。
自分の地域に旅行に来てもらいたい、と考えている人は、ファンの人にとって旅行するための「言い訳」をいくつか準備するよう心がけましょう。